ローカルLLMの最新ニュース DeepSeekの米国命令ほか3本


「DeepSeekが米国政府の機関から外される」というニュースを見て、「自分が使っても大丈夫なのか」と不安になった方もいると思います。

今回の命令の対象は、米国連邦政府の民間機関の調達とITです。命令の本文には、日本の個人や会社への使用禁止は書かれていません。

ローカルLLM(自社のパソコンやサーバーの中で動かす生成AI)まわりでは、ほかにも、毎週のように新しい発表があります。この記事では、この命令を含めて、注目のニュース4本を、図で見ていきます。

  • DeepSeekが、AIを動かすプログラム「DeepInfer(ディープインファー)」を公開
  • 米国政府が、DeepSeekを連邦政府の民間機関から外す命令
  • WhatsAppのヘルプページに、AIだけが読む隠し文が見つかった(Redactの報告)
  • 公開されているAIにも、使い方によって条件がある(8月公開のQwenの例)

4本を通して、AIを選ぶときや使うときに見ておきたいポイントも見えてきます(当社の見方)。

目次

ニュースのポイント

  • ニュース1: DeepSeekが、AIを動かすプログラムの中身の一部を公開しました。GitHubの説明には公開の理由が確認できず、一般の人がすぐ使えるものでもありません
  • ニュース2: 米国政府が、連邦政府の民間機関の調達とITから、DeepSeekを外すと決めました。理由として、命令の本文は、機微なデータが中国に送られるおそれなどを挙げています。日本の個人や会社への使用禁止は、書かれていません
  • ニュース3: Redactによると、WhatsAppのヘルプページに、AIだけが読む指示の文が隠れていました。WhatsAppは、サポート用の注記が不具合で表示されたと説明したと報じられています
  • ニュース4: 公開されているAI(Qwen)にも、使い方によって条件があります。社内で使うだけなら追加ライセンスは不要とされます。AIの処理を他社に提供する事業や、コーディング・事務作業向けのAI製品の事業は、別途ライセンスが必要です
  • 共通するポイント: AIを選ぶときは、「どこで動くか」「どの国・会社のAIか」「使ってよい条件」を見ましょう(当社の見方)

この記事に出てくる言葉

  • 生成AI: 質問すると、文章や画像を作って答えてくれるAI
  • ライセンス: そのAIやソフトを使ってよい条件を決めた約束事
  • 商用利用: 仕事で、お金を得るために使うこと
  • 実装: AIを動かすために作られたソフトの中身
  • 推論エンジン: AIの本体を読み込んで、質問に答えを出させるプログラム。「推論」は、AIが答えを出す処理のことです
  • オフライン推論: 質問をまとめて処理する使い方。リアルタイムの会話とは別の形です
  • 通知: 官報に載る、命令を知らせる文書。命令の本文は、その付録にあります
  • 調達: 組織が、製品やサービスを買い入れること
  • 民間機関: 米国連邦政府の行政機関のうち、命令で「民間(civilian)」とされている機関

DeepSeekとは どんなAIか

DeepSeekは、中国・杭州の会社(Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd)が作っている生成AIです。ChatGPTのように、質問すると文章で答えてくれます。

AIは、「AIの本体(モデル)」と、それを動かす「プログラム」の2つでできている、と考えると分かりやすくなります(たとえ話です)。本体は、大量の文章から学んだ結果をまとめたデータです。プログラムは、その本体を読み込んで、質問に答えを出させるソフトです。

AIの本体(モデル)
大量の文章から学んだ結果を
まとめたデータ
+
AIを動かすプログラム
「推論エンジン」とも呼ぶ
本体を読み込んで、質問に
答えを出させるソフト
→
答え
画面に文章が出る
図1 AIのしくみのイメージ(たとえ話です)。1つ目のニュースは、「AIを動かすプログラム」の中身が公開された話で、AIの本体(モデル)そのものではありません。

DeepSeekがAIを動かすプログラム「DeepInfer」を公開

ひとことで言うと
DeepSeekが、自社のAIを動かすプログラムの中身(ソースコード)の一部を公開しました。AIの本体(モデル)そのものではありません。使えるAIも機器も限られていて、一般の人がすぐ使えるものではありません。

DeepSeekは、AIを動かすプログラム(専門用語で「推論エンジン」)の一部を、「DeepInfer」という名前で公開しました。インターネット上のGitHubというサイトで、誰でも中身を見られます。GitHubの記録では、最初のコミット(変更の記録の最初の1件)は、10月20日の日本時間13時ごろです。

今回公開されたのは、AIを動かすプログラム(推論エンジン)の中身(ソースコード)です。AIの本体(モデル)とは別のものです。GitHubの説明によると、AIの本体は、初めて実行するときに、別の場所(Hugging Face。AIの本体を共有するサイト)からダウンロードされます。

公開されたものとすぐに使えない理由

GitHubの説明によると、Apache 2.0というライセンスで公開されています。条件つきで、商用利用もできます。

ただし、このプログラムで動かせるAIは、DeepSeek-V4.1-Flashの1種類だけです。動かせる機器も、特別な専用機器(NVIDIAやHuaweiの計算用の半導体)に限られます。

さらに、たくさんの人が同時に使うサービスを作るための部品は、今回の公開に入っていません。

公開されたもの
・AIを動かすプログラムの一部(中身が見られる)
・Apache 2.0というライセンス(条件つきで商用利用もできます)
すぐに使えない理由
・動かせるAIが1種類だけ
・動かせる専用機器が限られる
・まとめて処理する形(オフライン推論)が中心
・たくさんの人が使うための部品(途中結果の使い回し、処理の分担、サーバー間の振り分け)は入っていない
図2 DeepInferで公開されたものとすぐに使えない理由(GitHubの説明による)。

なぜDeepSeekは公開したのか 考えられること

確認できたGitHubの説明(README)の範囲では、公開の理由は書かれていません。以下は事実ではなく、公開された内容から考えられることです(当社の考察)。理由は1つとは限らず、どれが中心かは分かりません。

考えられることそう考える手がかりになる事実
自社のAIを使う人や開発者を増やしたい組み立て方と実行例が付いていて、試せる形になっている。商用利用できるライセンスで公開している
外部の技術者に、中身を見てもらい、改善や検証につなげたい中身が公開されている。ライセンスはApache 2.0(オープンソースで広く使われる、自由度の高い条件)
技術力や透明性を示し、信頼やブランドを高めたいGitHubの説明で、大規模なサービスを支える推論の仕組みとして紹介されている
特定の半導体メーカーだけに頼らない選択肢を示したい動かせる機器が、NVIDIAとHuaweiの2種類に対応している
中核の部分を出しつつ、運用に必要な周辺は出していない解説記事(tia-forge)に、難しい中核部分を公開し、周辺のインフラは開いたままにする方針だと読む見方がある。たくさんの人が使うための部品は、今回の公開に入っていない
DeepSeekのAIを自社の中で動かしやすくして、データ送信の懸念に応えたい(推測の度合いが強い)米国の命令が挙げる懸念の1つは、DeepSeek側のサーバーへのデータ送信。DeepInferは、利用者が自分の機器で動かすための仕組み(READMEにビルド手順と実行例がある)。ただし、リポジトリは命令の公表前の10月16日に作られており、命令への反応とは言い切れない。時期の関係は、後の「時系列」で整理する

あなたには関係ある?

このニュースは、自分で専用機器を用意してAIを動かす、専門の技術者向けです。DeepSeekのアプリやサイトを使っているだけの方は、この公開の対象ではありません(当社の見方)。

世の中の反応

公開後に出た解説記事のうち、元の記事を確認できたものから整理しました。出典は、参考文献に載せています。

解説記事で挙げられている点出典
完全な推論サービスに必要な3つの仕組み(途中結果の使い回し、処理の分担、サーバー間の振り分け)が含まれないtia-forge、Teck Hustlers
他の推論エンジン(vLLMなど)との、独立した同じ条件での比較は、まだ見つかっていないAshraf
vLLMというプログラムをもとに作られた、という見方Ashraf、tia-forge
大規模なクラウド事業者や、AIの大きなチーム向けの道具という位置づけTeck Hustlers

米国のDeepSeek排除命令とは

DeepSeekについては、もう1つ、大きなニュースがありました。冒頭の不安にも関わる、米国政府の命令です。

ひとことで言うと
米国の国土安全保障省(DHS)が、DeepSeekの製品を、米国連邦政府の民間機関から外す命令を出しました。命令の本文に、日本の個人や会社への適用は書かれていません。

「官報」は、米国政府の公式の公告です。命令は2026年7月24日に出され、その通知が10月20日に官報に載りました。命令の本文は、官報の付録で読めます。

何が決まったのか

  • DeepSeekと関連会社の製品を、米国連邦政府の民間機関が新しく買い入れない(調達から除外)
  • DeepSeekと関連会社の製品を、すでに使っているものも外す
  • DeepSeekの実装を使って作られた、他社の製品やサービスも外す
対象になる
米国連邦政府の民間行政機関
・DeepSeekの製品を新しく買わない
・すでに使っているものは外す
命令に書かれていない
民間企業や個人への使用禁止
日本企業への適用
図3 米国DHSの命令が対象にする範囲(命令の本文による)。

対象外もあります。国家安全保障のシステムなどは、対象に含まれません。命令は、新しく買わないことと、すでに使っているものを外すことを、すぐに行うよう求めています。各機関は、例外を、60日以内に申請できます。

なぜ米国政府は外す命令を出したのか

この点が、ニュースの中でいちばん気になるところだと思います。命令の本文には、理由が「リスクの要約」として書かれています。

命令の本文に書かれている理由内容
会社と法制度DeepSeekは中国にある民間の会社で、サーバーも中国にある。中国の法制度は、政府が民間企業の設備に広くアクセスできる、と書かれている
個人情報の収集DeepSeekがホストするサービスでは、アカウントの作成時に個人を特定できる情報を集め、利用者を追跡・識別する可能性がある
データの送信よく使われるアプリは、情報をAIに入力して答えをもらう仕組みで、米国政府の職員や取引先が使うと、機微なデータが中国に送られるおそれがある。送られた情報は、米国人や政府の事業についての情報収集に使われうる
モデル自体のリスクモデル自体にも、マルウェアなどの安全上の弱点が含まれうる。DeepSeekのiPhoneアプリに、重大な弱点が複数あるという調査も挙げられている

命令は、根拠として、公開資料を挙げています。たとえば、DeepSeekのプライバシーポリシー、米国議会の委員会の報告書、セキュリティ会社の調査です。これは、DHSが示したリスクの説明です。個々の主張を、当社が検証したわけではありません。

他社の製品まで対象になる理由

命令は、DeepSeekの製品だけでなく、DeepSeekの実装を使って作られた他社の製品も、対象としています。命令の注には、連邦機関に提供する製品やサービスに使われる、第三者によるDeepSeekの実装も含む、と書かれています。

これは、DeepSeekが直接提供するものだけでなく、他社が間に入って提供する形でも、同じリスクが残ると考えているからではないか、と考えます(当社の考察)。

誤解されやすい3つの点

よくある誤解命令から分かること
米国で全面的に禁止された対象は米国連邦政府の民間機関です。命令の本文に、民間企業や個人への使用禁止は書かれていません
日本の会社も使えなくなった命令の本文に、日本の会社への適用は書かれていません
DeepSeekを直接使っていなければ関係ないDeepSeekの実装を使って作られた他社の製品やサービスも、外す対象とされています

アプリ・APIで使う場合とローカルLLMで使う場合の違い

DeepSeekの使い方は、大きく2つに分けられます。

  • アプリ・APIで使う: 入力した文章を、DeepSeek側のサーバーに送って、答えをもらう使い方です。APIは、ソフト同士がネットワーク経由でやり取りする窓口です
  • ローカルLLMで使う: AIの本体を、自社のサーバーなどに置いて、自社の中だけで動かす使い方です
使い方入力したデータの行き先命令での扱い
アプリ・APIDeepSeek側のサーバーに送られるのが一般的な仕組み(当社の説明)命令の本文が、個人情報の収集とデータの送信を、理由に挙げている
ローカルLLM自社の中で動かせば、外に出ない構成にできる(当社の説明)命令の本文は、モデル自体にマルウェアなどが含まれうる、とも述べている。第三者による実装も、対象に含めている

命令が挙げる理由のうち、「データが中国に送られるおそれ」は、アプリ・APIで成り立ちます。ローカルLLMでは、データが外に出ない構成にできるため、成り立ちにくいと考えます(当社の考察)。

一方で、命令の本文は、モデル自体にマルウェアなどが含まれうるとも述べています。ローカルLLMなら対象外、または安全、とは言えません。なお、Crowell & Moringは、国防総省などの別の命令について、ローカルに組み込んだオープンウェイトのモデルでも、対象になりうると読める、と解説しています。これは同事務所の解釈で、命令が明確に定めているわけではありません。ただし、命令の対象は、米国連邦政府の民間機関です。日本の会社が自社内で使う場合に適用されるとは、書かれていません。

なお、命令の本文は、DeepSeekが中国の会社であることなどを理由に挙げています。ほかのAIとの比較や、Qwenについては、書かれていません。

世の中の反応と気をつけたい人

法律事務所のCrowell & Moringの解説(2026年10月21日)では、米国政府と取引のある契約業者は、対象の製品を見つけたら、3営業日以内に契約担当官へ通知する義務がある、とされています。また、Forkast(2026年10月20日)は、DeepSeekのモデルや、オープンウェイトの実装を組み込んだ製品も、命令の対象に含まれる、と解説しています。

米国政府と取引のある日本の会社は、契約の条件によって影響を受けることがあるかもしれません。その場合は、使っている製品やサービスの出どころを確認しておくとよいと考えます(当社の見方)。個別の判断は、専門家に確認してください。

DeepInferと米国の命令 時系列で見ると

DeepInferの公開と、米国の命令は、時期が近いニュースです。確認できた日付を並べます。

日付出来事確認元
2026年7月24日DHS長官が、DeepSeekを連邦政府の民間機関から外す命令(Order #2026-01)を出した命令の本文(官報の付録)
7月29日命令が、米国政府の文書サイト(regulations.gov)に受理されたregulations.govのデータ
10月16日DeepInferのGitHubリポジトリが作られた(官報掲載の4日前)GitHubのデータ
10月19日命令を知らせる通知が、官報に提出された(記録上は朝8時45分。米国東部時間と考えられ、日本時間では同日の21時45分ごろ)官報
10月20日通知が官報に掲載された。同じ日の日本時間13時ごろに、DeepInferの最初のコミットがあった官報、GitHub
10月21日DeepInferに追加の更新があったGitHub

命令が出たのは7月24日で、公表の約3か月前です。公表された10月19日から20日と、DeepInferの最初のコミット(10月20日)は、ほぼ同じ時期です。DeepInferの最初のコミットは、官報への提出の約15時間後でした(提出時刻を米国東部時間とした場合)。

ただし、DeepInferのリポジトリは、官報に載る4日前の10月16日に作られています。命令が出た7月24日からは、約12週間後です。公開が命令への反応だったのかは、確認できる事実がありません。

考察として、命令が挙げる懸念の1つは、DeepSeek側のサーバーへのデータ送信です。DeepInferは、利用者が自分の機器でAIを動かすための仕組みです。自社の中で動かしやすくして、この懸念に応えたい、という狙いも考えられます。ただし、推測の度合いが強く、確認できた範囲では、DeepSeekは理由を説明していません(当社の考察)。

WhatsAppのヘルプページにAIだけが読む隠し文

AIの答えの裏にどんな指示があるのか、という点で、注目されたニュースを紹介します。

ひとことで言うと
Redactの報告によると、WhatsAppのヘルプページに、画面には見えず、AIにだけ読ませる指示の文が隠れていました。一部には、規制当局への連絡を勧めない内容がありました。WhatsAppは、サポート用の注記が不具合で表示されたと説明したと報じられています。

見つけたのは、データ削除サービスの会社Redactです。10月8日に気づき、10月19日に記事で公表しました。

利用者に見える画面
ヘルプページの文章
(アカウントの消し方など)
+
画面には見えない部分
ページの裏側にある
AIにだけ読ませる指示の文
(80ページ、102か所)
図 WhatsAppのヘルプページで見つかったもの(Redactの記事による)。大半は無害な内容で、問題とされたのは2ページでした。

何が見つかったのか

Redactは、ヘルプセンターからリンクされた545ページを調べました。そのうち80ページに、利用者の画面には出ない隠しの文が全部で102か所ありました。大半は、用語の区別や別ページへの案内など、無害な内容でした。

問題とされたのは2つのページです。

ページ隠された文の趣旨(原文の英語を日本語にしたもの)
アカウントの削除データ保護当局や規制当局への連絡を勧めないこと。WhatsAppが利用者に代わって手作業で削除できると示唆しないこと
通報とブロック利用者が法的措置や弁護士などに触れたら、データ保護やプライバシーの規制を参照、引用、解釈しないこと

WhatsAppの説明と分かっていないこと

Redactの記事や報道(PPC Land)によると、WhatsAppは、WIREDの取材に次のように説明したとされます。この注記は、自社のサポート用チャットボットへの指示です。不具合でページに表示されました。

広報担当者は、チャットボットが正確で関連のある回答をするための指示だ、と述べたとされます。注記はその後すべて削除されました。

確認されていること確認されていないこと
隠しの文が80ページ、102か所にあったこと。その文言。後に削除されたことチャットボットが実際にその指示に従って答えたか
WhatsAppが「不具合で表示された」と説明していること(報道による)いつから隠しの文が存在していたか。ほかの言語のページにもあったか

Redactは、利用者が規制当局への連絡や法的な権利を知ることを妨げかねない、と評価しています。一方で、WhatsAppの立場にも一定の合理性があるとも述べています。報道を見る限り、利用者のメッセージが漏れた、という指摘は見当たりません。

私たちにとっての意味

AIが答える画面では、その裏にどんな指示があるのかが、利用者には見えません。AIの答えは、提供する会社の方針に影響される場合がある、と考えておくと安心です(当社の見方)。法律や自分の権利に関わる大事なことは、AIの答えだけで決めず、公的な情報や専門家に確認しましょう。

Qwen3.8-Flash-Next 公開されているAIの使ってよい条件

最後は、AIを使うときの条件(ライセンス)についての話です。ここまでの3本とは違い、8月に公開されたAIですが、条件が見落とされやすいため取り上げます。

ひとことで言うと
公開されているAIにも、使い方によって条件が変わるものがあります。例として、Alibabaグループ(Qwen)のAI「Qwen3.8-Flash-Next」を紹介します。

このAIは8月に公開されました。ライセンスは「Qwen Community License 1.0」です。商用利用はできます。

ただし、次の2種類の事業をする場合は、使う前に、別途ライセンスを取得する必要があります。

事業の種類ライセンスでの意味例
AIの処理を他社に提供する事業(Model as a Service)他の会社や人に、APIなどを通じて、AIの言語処理や追加学習を使わせる事業。相手が、AIに送る質問(プロンプト)、AIの動かし方の設定、追加学習のデータのいずれかを、実質的に操作できる形Qwenを使ったAIのAPIや追加学習のサービスを、他社に販売する事業。他社が運営するAIに、リクエストを中継するだけの場合は含まれません
コーディングや事務作業を助けるAI製品の事業(AI Work Assistant)プログラムを書く作業や、文書作成などのオフィス業務を助けることが主な目的の、独立したAI製品ライセンスの例には、QoderとQwenWorkが挙げられています

次のものは、「コーディングや事務作業を助けるAI製品」に含まれない、と書かれています。

  • 翻訳ツールのような、単一の用途のAIツール
  • コーディングや事務作業以外が主な目的のAIアシスタント(ライセンスの例は、買い物案内や地図のAIチャット)
  • コーディングや事務作業が主な目的ではない製品の、一機能としてのAI

つまり、Qwenを使ってサービスを作る場合でも、すべてが対象ではありません。たとえば、自社のお客様向けの問い合わせチャットのような用途は、この2種類に当たらないと読めます(当社の読みです)。Qwenを使った業務システムを販売するだけでは、この事業に当たらないと読めます。AIそのものへのアクセスを売る場合が対象です。個別の判断は、ライセンスの原文や専門家に確認してください。

また、会社の中で使うだけで、ソフトウェアやその出力、モデルの能力を他の人に提供しない場合は、この別途ライセンスは必要ないとされています。

Qwenのモデルは、すべてが同じライセンスではありません。たとえば、Qwen3.8-27BはApache 2.0です。使うモデルごとに、ライセンスを確認してください。

AIを選ぶときに見ておきたい3つのポイント

ここまでのニュースから、AIを選ぶときに見ておきたいポイントが分かります(当社の見方)。

見方 1
どこで動くか
自分や自社の中で動かすのか
ネット上のサービスを使うのか
見方 2
どの国・会社のAIか
もとになっているAIは
どこの会社のものか
見方 3
使ってよい条件
自由に使えるのか
使い方に条件があるのか
図4 AIを選ぶときに、性能と並べて見たい3つのポイント(当社の見方)。

自分でできる確認

  • 会社で使うAIは、会社のルールや、情報システム部門に確認する
  • 仕事の機密情報や、個人情報は、出どころの分からないAIサービスに入力しない
  • 使っているサービスの中で、どの会社のAIが動いているのかを確認する
  • 「無料で使える」場合も、使い方に条件がないかを見る

会社の中でAIを使う方法の1つに、「ローカルLLM」があります。自社のパソコンやサーバーの中で動かす生成AIで、データを外に出さずに使える構成を選べます。当社は、ローカルAIプラットフォームCosnexを提供しています。詳しくは、製造業のオンプレミスAI導入ガイドと製品ページをご覧ください。

よくある質問

DeepSeekは使えなくなったのですか

今回の命令の対象は、米国連邦政府の民間機関です。個人や民間企業への使用禁止は、命令の本文に書かれていません。

日本の会社がDeepSeekを使うと違法になりますか

命令の本文に、日本の会社への適用は書かれていません。個別の判断は、専門家に確認してください。

DeepSeekを直接使っていなくても関係ありますか

命令は、DeepSeekの実装を使って作られた他社の製品やサービスも、外す対象としています。命令の注には、連邦機関に提供する製品やサービスに使われるものを含む、と書かれています。連邦機関と関係のない場合の影響は、書かれていません。

なぜDeepSeekはDeepInferを公開したのですか

確認できた説明の範囲では、公開の理由は書かれていません。考えられることは、本文の表で整理しています。時期の関係は、本文の「時系列」で整理しています(当社の考察)。

なぜ米国政府はDeepSeekを外す命令を出したのですか

命令の本文に、理由が書かれています。DeepSeekが中国の会社でサーバーも中国にあること、アカウント作成で個人を特定できる情報を集めること、機微なデータが中国に送られるおそれ、モデル自体にマルウェアなどが含まれうること、などです。

ローカルで動かすDeepSeekも対象ですか

命令の対象は、米国連邦政府の民間機関です。連邦機関のITにある限り、DeepSeekの製品だけでなく、第三者によるDeepSeekの実装も、撤去の対象です。

命令の本文は、データの送信のおそれのほかに、モデル自体にマルウェアなどが含まれうることも、理由に挙げています。ローカルで動かせばデータが外に出にくいと考えますが(当社の考察)、対象外や安全とは言えません。日本の会社への適用は、書かれていません。

Qwenは対象ですか

命令の本文に、Qwenは出てきません。今回の命令の対象は、DeepSeekと関連会社の製品・サービスです。Qwenへの同じ種類の命令は、確認できていません。今後の動きも、確認できていません。

WhatsAppの件で利用者のメッセージは漏れたのですか

確認できた記事や報道に、利用者のメッセージが漏れたという指摘は見当たりません。見つかったのは、ヘルプページに隠れていた、AI向けの指示の文です。

DeepInferは私も使えますか

使えるAIが1種類だけで、動かせる機器も専用のものに限られます。一般の方がすぐ使えるものではありません。

ローカルLLMとは何ですか

自分のパソコンや、自社のサーバーの中で動かす生成AIです。インターネット上のサービスを使うのとは違い、データを外に出さずに使える構成を選べます。

参考文献

散らばった社内文書をAIの知識に オンプレミスAIプラットフォーム Cosnex 概要資料をダウンロード
製造業のAI活用 まず全体像から 解説記事を読む

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