GAS×Dify×スプシで営業メール作成を完全自動化


「また営業代行からトスアップが来たけど、メール対応に手が回らない…」
そんな声を、営業チームから聞いたことはありませんか?

営業活動のなかでも、見込み客への最初のメール作成は意外と時間を取られがちです。
カレンダーを開いて打ち合わせ可能日を探し、見込み客の要望に合わせたサービスを選び、納得感のある提案文を作る……これらの作業は思った以上に手間がかかり、気づけば本来の営業活動に充てる時間が削られてしまっているのです。

そこで本記事では、GAS(Google Apps Script)× Dify × Google Sheets × Googleカレンダーを活用し、
この“メール作成の手間”をまるっと自動化するワークフローを実例付きでご紹介します!

GAS×Dify×カレンダー連携のフローを“実画面”で解説!

ビジネスマッチングサイトから届く問い合わせメールを起点に、営業提案メールの下書きと打ち合わせ候補日を完全自動で生成するワークフロー。
実際のDifyワークフロー画面を使って、その流れをステップバイステップで解説します!

使用ツールと連携構成

ツール主な役割
Gmailビジネスマッチングサイトからの通知メール受信
Google Apps Script(GAS)メールの取得・整形・Google Sheetsへの反映・Dify呼び出し
Google Sheets各処理ステップのデータ受け渡しとログ管理
Difyメール下書き&候補日作成を担うAIワークフローの中核
Google カレンダー打ち合わせ可能日抽出のための空き時間情報提供

実際のDifyワークフロー図(画像参照)

以下は、Difyで構築された「営業メール自動作成」ワークフローの構成図です。

処理の流れ(画面ノードに沿って解説)

  1. 開始(Start)
     GAS経由で受け取った入力(spreadsheetId、targetRangeA1、userInput)がトリガーとなります。
  2. 知識検索(ナレッジベース参照)
     「会社サービス紹介QA.csv」というナレッジファイルを参照し、提案メール文に必要な情報(サービス特徴、強みなど)を補完します。
  3. カレンダー処理ブロック
     - コード実行(候補日範囲抽出)
     - イベント一覧表示
     - コード実行(候補日選出)

 これら3つのノードで、Googleカレンダーと連携し、空き日程を取得 → 候補日としてふさわしい時間帯を抽出します。

  1. Google Sheetsからのデータ取得(BATCH GET)
     GASから渡されたスプレッドシート範囲の値を取得し、提案に必要な顧客情報や問い合わせ内容を取得。
  2. コード実行:スプシデータを変数に変換
     取得したデータを使いやすい形に整形して、LLMノードに渡すための変数に格納します。
  3. LLM(メール本文作成)
     Gemini 2(Chatモデル)を使って、
     - 誰に
     - どんな文脈で
     - 何を提案するか
     を判断した上で、営業メールの下書きを作成。
  4. GMAIL下書き作成
     完成したメール本文を、宛先・件名付きでGmailの下書きに自動保存します。
  5. 終了(End)
     最終的な応答内容(メール本文や候補日など)を返して処理完了。

効果と注意点まとめ

このDify×GAS連携による営業メール自動化ワークフローは、ただの“便利なツール連携”ではありません
実運用の中で、以下のような明確な業務改善効果をもたらします。ただし、運用にはいくつかの注意点もあるため、あわせてご紹介します。

導入による主な効果

項目Before(手動)After(自動化)
メール確認毎日人が受信BOXをチェックGASが1時間おきに自動取得
提案文作成案件ごとに文章をゼロから作成Difyがナレッジと連携し自動生成
日程調整カレンダーを見ながら手入力空き時間を自動抽出して候補日提示
時間コスト1件あたり15〜20分1件あたり1分以下(確認のみ)
担当者の負担高(対応が属人化)低(送信前のレビューのみ)

💡 ポイント:
「メールを作る」ではなく、「作らないしくみを作る」ことで、営業対応の“考える時間”を別業務に回すことができます。

実運用での注意点まとめ

以下は、システム導入後の運用トラブルを未然に防ぐために押さえておくべきポイントです。

① ハルシネーション(AIの“もっともらしい誤情報”)対策

  • ナレッジに不明確な表現があると、AIが誤った提案を出すことがあります。
  • →ナレッジベースは定期的にメンテナンスし、具体・簡潔・正確に!

② 下書きチェック体制の確保

  • 自動で作成されたメールも、最終的には人間の目で確認するプロセスを残しましょう。
  • Gmailの下書き機能やステータス列で「確認済み」「送信済み」などを管理。

③ 想定外の問い合わせフォーマットへの対応

  • ビジネスマッチングサイトによっては通知メールの構成が異なります。
  • →件名・本文のパターンに柔軟に対応できる構文解析ロジックの設計が重要です。

④ API連携制限・エラー処理

  • GASやDifyのAPIは1日の使用制限やタイムアウトの制約があります。
  • エラー時の再送・ログ記録・通知機構をあらかじめ設計しておくと安心です。

まとめ:まずは1件から、小さく始めて賢く回そう

「営業メールを作る時間がなくなるなんて、半信半疑だった」
——そんな声が導入企業から次々に上がるのが、GAS×Difyによる営業メール自動化ワークフローです。

本記事では、以下のようなステップで実現できる“省力化の仕組み”をご紹介してきました。

  • ビジネスマッチングサイトから届くメールを自動取得(GAS)
  • 内容を解析し、Google Sheetsに記録・整形
  • Difyワークフローで提案文と打ち合わせ候補日を生成
  • Gmailに下書き保存、担当者は確認→送信するだけ

自動化の本質は「仕組みで考える時間を増やす」こと

「AIに任せられる作業は任せる」——これはDXの合言葉のように使われていますが、
本当に重要なのは、自動化で生まれた時間をどう使うかです。

  • より戦略的な提案を練る
  • 対応の質を磨く
  • 成約後のフォローアップを丁寧に行う

こうした**“人にしかできない仕事”に集中できる状態を作る**ために、今回のような自動化ワークフローが力を発揮します。

導入の第一歩は「1件」から

すべてを一気に自動化する必要はありません。
まずは、よくある問い合わせ1件に対して自動返信できる仕組みを構築してみましょう。

  • ナレッジは1ファイルから
  • カレンダー連携も平日日中だけでOK
  • メール生成も「下書き保存」からスタート

小さく始めて、育てながら改善していく——それが、長く運用できる自動化のカギです。

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