生産・流通の履歴を見える化するシステムをブロックチェーンで実現


ブロックチェーンを使った生産・流通履歴管理システムの開発

天然ダイヤモンドの信頼性を担保するため、ブロックチェーンを使ったトレーサビリティビューアシステムを共同開発

当社は、株式会社MIAREと共同で、ブロックチェーン技術を活用した生産・流通履歴管理システム(トレーサビリティ・ビューア・システム)を開発しました。
同社の関連会社でロシア産の新品天然ダイヤモンドを取り扱う株式会社バージンダイヤモンドでは、2020年1月より本システムを利用した天然ダイヤモンドの販売を開始しました。

導入の背景

天然ダイヤモンドなどを扱う貴金属業界では、ダイヤモンドの情報を偽装して販売したり、販売元が偽装を気づかずに販売したりしていることがあります。ダイヤモンドは天然のもの以外に、次の3種類のものが市場に流通しています。

1.合成ダイヤ*1
2.紛争ダイヤ*2
3.二次加工ダイヤ*3

問題となっているのは、情報を開示しない、または開示できない状態で販売されていることです。ダイヤモンドの価値は、輝きや形などの品質だけではありません。どこで発掘され、研磨され、誰が所有しているかという、生産から販売までの工程が価値として評価されます。そのため、情報が開示できないダイヤモンドは、顧客にとって不利益となる可能性があります。

本システムの導入により、当社が解消する課題は、合成ダイヤ、紛争ダイヤ、二次加工ダイヤとの違いを明確にすることで、顧客がそれらを取捨選択できる状態にした上で、値段や品質からご自身の価値観に従って選ぶことができるようになりました。また、鑑定書の偽装問題も解決することができました。

ダイヤモンドの生産履歴の管理から販売、顧客の動画アップロードまでの流れ

*1 天然ダイヤモンドと実質的に同じ化学組成、結晶構造、物理的特性を持つもの。偽物ではないが、天然でもない
*2 シエラレオネなど内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているもの。現在では取引は禁止されている
*3 貴金属販売店や質流れ品のダイヤモンドを購入し、再度加工して販売すること鑑定書があるため、品質は確認できるが、産地が不明なもの

信頼性が担保できる生産履歴管理システム

トレーサビリティ・ビューア・システムでは、販売するダイヤモンドの情報を一つずつ登録します。登録する情報は次の8項目です。

1.シリアル番号 2.契約書 3.発注書 4.リスト
5.研磨前の原石 6.原石研磨のプラン 7.研磨後のダイヤ 8.鑑定書

上記の情報をシステムに登録し、なおかつそのハッシュデータがブロックチェーンに記録されます。ダイヤモンドを購入する顧客は、ウェブサイトのリンクまたはQRコードより、ダイヤモンドの情報を確認することができます。

こうした情報を開示することで、ダイヤモンドの信頼性が担保され、顧客に安心と価値を提供することができます。

本システムでは、情報の開示だけではなく、顧客の記念となる画像や映像をダイヤモンドとともに保管できるよう、顧客がオンライン上にアップロードできる機能も搭載しています。

今後、同社ではダイヤモンドを購入するお客様に対して正しい情報を発信するとともに、情報を開示することを業界の基準として広めていく予定です。

また、トレーサビリティシステムは、ダイヤモンドだけではなく、生産や流通の履歴の必要な商品をブロックチェーンに同様に記録し、管理することができます。主に貴金属や絵画、ブランド商品などにも展開していく予定です。